結論から: 国土交通省の「建設関連業 登録業者数調査」(令和7年度末)では、測量業の登録業者は10,924業者と平成15年度末のピーク(14,750業者)から25.9%減り、22年連続で減少しています。令和7年度の新規登録271業者に対し登録消除は487業者で、その内訳は廃業等の届出212業者・更新切れ275業者でした。建設コンサルタントは3,917業者でピーク比7.0%減と概ね横ばいです。登録は更新制で、小規模な事業者が多く、測量業者の約9割が個人または資本金5,000万円未満の法人。国土地理院の過去調査(平成30年)では、測量士の約57%が50歳以上でした。この記事では、測量業・建設コンサルタントを商談前に調べるときの経営課題を、公開情報から6パターンに整理します。

測量業・建設コンサルタントを「建設業」の一括りにしない理由

中小企業に共通する経営課題の型(人手不足・後継者不在・DXの遅れなど)は経営課題の見つけ方|中小企業10パターンで整理した通りです。工事を請け負う業態は建設業・電気工事業・解体工事業の記事で扱っていますが、測量業と建設コンサルタントは、工事ではなく調査・計画・設計といった技術サービスを提供し、建設業許可とは別に、測量法に基づく測量業者登録や建設コンサルタント登録規程に基づく登録を受ける点が大きく異なります。統計も国土交通省が登録業者数として別建てで公表しており、業界の構造は建設業と同じ数字では読めません。

業界の全体像を数字で見る

国土交通省が令和8年8月28日に公表した「建設関連業 登録業者数調査(令和7年度)」によると、令和7年度末の国土交通大臣登録業者数は、測量業が10,924業者、建設コンサルタントが3,917業者、地質調査業が1,229業者でした(出典)。

  • 測量業: 前年度末(11,140業者)から216業者(1.9%)減。登録業者数が最も多かった平成15年度末(14,750業者)から3,826業者(25.9%)減り、22年連続の減少。
  • 建設コンサルタント: 前年度末(3,930業者)から13業者(0.3%)減。ピークの平成17年度末(4,214業者)から297業者(7.0%)減で、概ね横ばい。
  • 地質調査業: 前年度末(1,221業者)から8業者(0.7%)増の1,229業者。

つまり、同じ建設関連業でも、測量業は長期の減少が続き、建設コンサルタントは緩やかな減少にとどまる、という違いがあります。商談前に「測量業」なのか「建設コンサルタント」なのか、あるいは両方を登録しているのかを確認するだけでも、前提がかなり変わります。

測量業・建設コンサルタントの経営課題、主要な6パターン

ここからは、測量業・建設コンサルタントに特有の経営課題を6パターンに整理します。それぞれ、公開情報のどこにサインが出やすいかもあわせて紹介します。

①登録業者の長期減少と、新規より多い登録消除

令和7年度の測量業は、新規登録271業者に対し、登録を消除した業者が487業者でした。新規の約1.8倍が登録から外れた計算です。建設コンサルタントも新規102業者に対し消除115業者と、わずかに消除が上回りました。業者数の減少は事業環境の厳しさを示唆しますが、減少の理由そのものは統計から読み取れません。個社の商談では、廃業・事業承継・業務縮小のいずれを検討しているのかを、決めつけずに確認する姿勢が必要です。会社の沿革や代表者の年齢、後継者に関する記載は、公式サイトや求人情報から手がかりが得られます。

②5年ごとの登録更新という固有の事務負担

測量業者の登録の有効期間は5年で、更新するには有効期間満了の90日前から30日前までに申請する必要があります(中部地方整備局)。令和7年度に測量業で登録を消除した487業者のうち、廃業等の届出が212業者であるのに対し、更新切れが275業者と、更新切れのほうが多くなっています。建設コンサルタントでは同じ消除115業者のうち更新切れは20業者で、廃業等が95業者でした。更新切れの理由まではこの統計から分かりませんが、期限管理・変更届・技術者要件の管理が属人的になりやすい小規模事業者にとって、登録情報や技術者の資格・在籍状況を台帳で管理できているかは、確認する価値のあるポイントです。

③小規模事業者が大半を占める構造

同調査の資本金階層別の集計では、測量業は個人(8.5%)、資本金1,000万円未満(33.6%)、1,000万円以上2,000万円未満(34.1%)で、個人と資本金5,000万円未満の法人を合わせると9,877業者で、全体の90.4%を占めます。建設コンサルタントでも、同じ区分が3,052業者(77.9%)です。平成15年度末のピーク時と比べると、測量業の「1,000万円以上2,000万円未満」の階層は2,223業者減(減少率37.4%)と大きく減っています。一方で「5,000万円以上1億円未満」は392から413業者へ増加しており、規模の小さい層ほど減り、一定規模の層は維持または増えるという偏りが見られます。小規模事業者は、見積・工程・成果品・請求といった管理を少人数で回しているケースが多いと考えられ、紙やExcel中心の運用が残っていないかが論点になります。

④測量士の年齢構成と、毎年の新規供給の変動

国土地理院が平成30年度に実施した調査(回答業者5,360社)では、測量業者に所属する測量士30,368人のうち、50歳以上が17,330人(57.1%)、60歳以上が9,463人(31.2%)で、30歳未満は756人(2.5%)でした(出典、年齢別人数からの当社単純計算)。ただし、これは約8年前の値で、回収率は45.3%の回答業者ベースです。現在の年齢構成と断定はできず、あくまで当時の傾向として参考にする情報です。

新規の有資格者の供給も年によって大きく変動します。国土地理院の令和8年測量士試験は受験者3,966人・合格者961人(合格率24.2%)で、令和7年の合格者1,487人から約35%減りました。測量士補試験も令和8年は受験者12,269人・合格者5,447人(合格率44.4%)で、令和7年の6,837人から約20%減っています(測量士、測量士補)。単年の増減で業界の傾向は判断できませんが、経験者の中途採用に頼りがちな業態で、技術継承や教育の仕組みがどこまで整っているかは確認しておきたい点です。

⑤兼業・複数登録に伴う案件管理の複雑さ

登録3業種の兼業状況を見ると、測量業は「測量業のみ」登録が7,991業者(73.2%)で、測量業と建設コンサルタントの2業種登録が2,081業者(19.0%)、3業種すべてを登録している業者が777業者(7.1%)です。建設コンサルタント側から見ると、72.9%が測量業との兼業になります。さらに建設コンサルタントの登録は21の部門に分かれており、複数の部門を登録している業者の割合は、前年度末から0.8ポイント増えています。業務の範囲が広がるほど、案件ごとの技術者の割り当て・成果品の管理・原価の把握が複雑になりやすく、業務システムの要件も専業の測量会社とは異なります。

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⑥技術者の確保と、事業構成の二極化

前述の平成30年度調査では、要員の確保状況について、測量士・測量士補ともに確保されている企業は40.7%、測量士が不足している(「ともに不足」23.4%と「測量士が不足」20.9%の合算で当社計算)企業が44.3%でした。測量士・測量士補以外の技術者が不足している企業は41.3%で、不足している技術者として「技術士」65.4%、「RCCM」57.3%が挙がっています。社員数は5人未満が33.7%、5人以上10人未満が21.7%と、10人未満の事業者が過半を占めました。

また、売上高に占める測量分野の割合は「90%以上」が23.5%、「10%未満」が22.2%と二極化していました。測量を主力とする事業者と、他の業務が中心で測量が一部という事業者では、課題の所在が異なります。いずれも平成30年(2018年)時点の自己申告ベースの値であり、現在値としては要検証です。個社の現状は、採用ページの募集職種や、保有資格の記載、事業内容の紹介から見立てることができます。

商談前に見ておきたい測量業・建設コンサルタント特有の公開情報

測量業・建設コンサルタントをリサーチする際は、中小企業に共通する求人票・ニュースリリースに加えて、次のような業種特有の情報源も確認しておくと、経営課題の当たりをつけやすくなります。

  • 登録の種類と部門: 測量業のみか、建設コンサルタントや地質調査業との兼業か。建設コンサルタントなら登録部門の幅。
  • 保有資格・技術者の構成: 測量士・測量士補・技術士・RCCM等の在籍の記載や、採用ページに示された募集資格。
  • 主な業務の範囲: 用地測量、路線測量、地形測量、基準点測量、設計、調査など、公式サイトの業務紹介にある領域。
  • 代表者の年齢と事業承継の記載: 沿革や代表挨拶、後継者・承継に関する発信の有無。
  • 業務管理・成果品管理の運用: 工程管理や見積・原価管理、成果品の納品方法に関する記載や求人票での使用ツールの言及。

これらを一件ずつ手作業で調べるとかなりの時間がかかりますが、会社名を入力するだけで公開情報を横断し、経営課題・提案システム・ROI・想定反論まで出典付きで自動リサーチできるZEROSYSリサーチのようなツールを使えば、当たりをつける作業そのものを効率化できます。技術サービス業という点では専門サービス業の視点も参考になります。工事を伴う隣接業種は建設業・電気工事業の記事とあわせて確認すると整理しやすくなります。具体的な質問への落とし込み方は初回商談の質問リスト30選【業種別】で解説していますので、あわせて活用してください。決算書から利益率の傾向を掴む視点は決算書の読み方|営業が5分で掴む3指標を参照してください。

よくある質問

測量業者は今、何業者くらい登録されていますか?

国土交通省の登録業者数調査(令和7年度末)では、国土交通大臣に登録している測量業者は10,924業者で、前年度末から216業者(1.9%)減りました。平成15年度末(14,750業者)をピークに22年連続で減少しています。

建設コンサルタントの登録業者数はどう推移していますか?

令和7年度末は3,917業者で、前年度末(3,930業者)から13業者減りました。平成17年度末のピーク(4,214業者)から7.0%減で、概ね横ばいの傾向と公表されています。

測量業の登録は、更新が必要ですか?

測量業者の登録の有効期間は5年で、更新するには有効期間満了の90日前から30日前までに申請する必要があります。令和7年度の登録消除487業者のうち、更新切れは275業者でした。詳細な手続きは各地方整備局等の案内で確認してください。

測量士試験の合格者数はどのくらいですか?

国土地理院の発表では、令和8年測量士試験は受験者3,966人・合格者961人(合格率24.2%)、測量士補試験は受験者12,269人・合格者5,447人(合格率44.4%)でした。令和7年の合格者は測量士1,487人・測量士補6,837人です。

まとめ

測量業・建設コンサルタントの経営課題は、①登録業者の長期減少と、新規を上回る登録消除②5年ごとの登録更新という固有の事務負担③個人・資本金5,000万円未満の小規模事業者が約9割(測量業)を占める構造④測量士の年齢構成と、年ごとに変動する新規供給⑤兼業・複数登録に伴う案件管理の複雑さ⑥技術者の確保と事業構成の二極化、という6パターンに整理すると、公開情報から当たりをつけやすくなります。測量業は22年連続の減少が続き、建設コンサルタントは概ね横ばいという違いや、登録更新という建設業とは異なる制度が、この業種を特徴づけています。年齢構成や人員の不足感は平成30年の調査値であり、決めつけずに登録の種類・保有資格・事業の構成・事業承継の状況といった一次情報を確認しながら商談準備を進めることが、決裁者に届く提案につながります。