結論から: 厚生労働省の「社会福祉施設等調査」(令和6年10月1日現在)では、障害福祉サービスの居宅介護事業は26,485か所で、障害福祉サービス等・障害児通所支援等の事業の中で最も多く、令和5年の25,967か所から518か所(2.0%)増えました。令和2年(23,741か所)からは2,744か所(約11.6%)の増加です(当社計算)。常勤換算従事者は令和6年に155,444人で、令和2年から約24.0%増えています(当社計算)。9月中の利用実人員(障害者)を見ると、身体介護が中心の区分は令和2年の107,069人から129,014人へ約20.5%増え、家事援助が中心の区分(125,473人から129,854人、約3.5%増)にほぼ並びました。介護保険の「居宅介護支援」(ケアマネジメント)とは別の制度で、指定は都道府県知事が事業所ごとに行い、基準省令は常勤換算2.5人以上の従業者とサービス提供責任者を置くよう定めています。報酬・加算、サービス提供責任者の員数の細目、資格の細目は告示や通知にあり本記事では「要検証」と明記しているため、営業や開設の前に公的な一次情報で必ずご確認ください。

障害福祉の「居宅介護」は、介護保険の「居宅介護支援」でも「訪問介護」でもない

中小企業に共通する経営課題の型(人手不足・後継者不在・DXの遅れなど)は経営課題の見つけ方|中小企業10パターンで整理した通りです。この記事で扱うのは、障害者総合支援法の「居宅介護」です。名前が似ている介護保険の「居宅介護支援」(ケアマネジメント)は居宅介護支援事業所の経営課題で、介護保険の介護サービス全般は介護・福祉事業者の経営課題で扱っています。障害福祉の居宅介護は、同じ訪問系の重度訪問介護・同行援護・行動援護と並ぶ、障害福祉サービス(介護給付)の入口にあたるサービスです。

障害者総合支援法第5条第2項は、居宅介護を、障害者等につき、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の主務省令で定める便宜を供与することと定めています。施行規則第1条の3は、その便宜を、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助としています。重度訪問介護(第5条第3項、施行規則第1条の4)が「重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要するもの」に限られ、同行援護が視覚障害のある人の外出時、行動援護が行動上の著しい困難のある人の行動時の援護に限られるのに対し、居宅介護の定義には対象を絞る要件も外出時に限る要件も置かれていません。条文の形だけを見ても、4つの訪問系の中で最も広く使われうる定義です。

業界の全体像を数字で見る

厚生労働省の「令和6(2024)年社会福祉施設等調査の概況」と、令和2年から令和5年の各概況から、次の数字が分かります。

  • 事業所数(各年10月1日、基本票の全数): 令和元年23,098か所、令和2年23,741か所、令和3年24,462か所、令和4年25,263か所、令和5年25,967か所、令和6年26,485か所です。前年比は令和2年+643か所(2.8%増)、令和3年+721か所(3.0%増)、令和4年+801か所(3.3%増)、令和5年+704か所(2.8%増)、令和6年+518か所(2.0%増)で、毎年増えていますが令和6年の伸びは過去5年で最も小さくなりました。令和2年からは+2,744か所(約11.6%増)です(当社計算)。令和6年の概況は、事業の種類別の事業所数で最も多い事業として居宅介護(26,485か所)を挙げています。同じ令和6年の重度訪問介護は22,849か所、同行援護は8,187か所、行動援護は3,117か所で、居宅介護は重度訪問介護の約1.16倍、同行援護の約3.2倍、行動援護の約8.5倍です(当社計算。複数の事業を行う事業所はそれぞれの事業に計上されるため、事業所の重なりは統計から分かりません)。
  • 利用実人員(障害者、令和6年9月中、詳細票の推計): 身体介護が中心129,014人、家事援助が中心129,854人、通院介助が中心(身体介護を伴う)28,104人、通院介助が中心(身体介護を伴わない)7,898人、通院等乗降介助が中心2,307人です。統計の注1のとおり、居宅介護事業の利用実人員は「サービスの内容別に利用者を計上」しているため、この5つの数字を足し合わせても利用者の実数にはなりません(同じ人が複数の区分に計上されうる)。
  • 身体介護が中心と家事援助が中心の推移(障害者の利用実人員、9月中): 身体介護が中心は令和2年107,069人、令和3年116,836人、令和4年111,656人、令和5年123,576人、令和6年129,014人で、令和2年から約20.5%増、令和6年は前年から約4.4%増です。家事援助が中心は令和2年125,473人、令和3年129,732人、令和4年123,579人、令和5年130,838人、令和6年129,854人で、令和2年から約3.5%増にとどまり、令和6年は前年から約0.8%減りました(当社計算)。この2区分だけで見た身体介護が中心の割合は、令和2年の約46.0%から令和6年の約49.8%へ上がっています(当社計算)。令和6年はなお家事援助が中心が840人多い計算です。
  • 1人当たり訪問回数(障害者、9月中): 身体介護が中心は令和2年18.4回、令和3年18.4回、令和4年18.8回、令和5年19.8回、令和6年19.3回、家事援助が中心は9.3回、9.2回、9.0回、8.9回、8.8回です。通院介助が中心(身体介護を伴う)は3.2回から2.9回、通院等乗降介助が中心は7.3回から6.4回でした。令和6年の重度訪問介護は26.2回、同行援護(障害者)は6.0回、行動援護(障害者)は5.8回です。訪問回数の合計は、身体介護が中心が令和2年の1,965,996回から令和6年の2,489,748回へ約26.6%増、家事援助が中心は1,165,090回から1,138,706回へ約2.3%減りました(当社計算)。
  • 障害児の利用(令和6年9月中): 身体介護が中心10,075人(1人当たり10.5回)、家事援助が中心1,045人(9.0回)、通院介助が中心(身体介護を伴う)865人、同(伴わない)93人、通院等乗降介助が中心26人です。障害者の5区分の計上人数の合計(297,177人)に対し、障害児の5区分の計上人数の合計は12,104人で、両者の合計に占める障害児の割合は約3.9%です(当社計算。同じ人の重複計上があり得る参考値)。
  • 常勤換算従事者数(各年10月1日、詳細票の推計。9月中に利用者がいた事業所の従事者数): 令和2年125,309人、令和3年130,746人、令和4年124,697人、令和5年148,007人、令和6年155,444人です。令和4年は前年から約4.6%減り、令和5年は表8の前年比欄のとおり前年から18.7%増え、令和6年は+7,437人(約5.0%増)でした。令和2年からは+30,135人(約24.0%増)で、事業所数の伸び(約11.6%)の約2倍です(当社計算)。
  • 従事者の資格の構成(令和6年): 介護福祉士86,869人(約55.9%)、実務者研修修了者14,342人(約9.2%)、初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級課程修了者を含む)42,081人(約27.1%)、旧ホームヘルパー1級2,960人、旧介護職員基礎研修課程修了者1,964人、障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者471人、その他6,759人です(割合は当社計算。内訳の合計は155,446人で総数155,444人と2人ずれており、表の端数処理によるものです)。令和2年は介護福祉士67,343人(約53.7%)、実務者研修8,551人(約6.8%)、初任者研修38,732人(約30.9%)で、令和2年からの増加率は介護福祉士が約29.0%、実務者研修が約67.7%、初任者研修が約8.6%です(当社計算)。介護福祉士と実務者研修を合わせた割合は約60.6%から約65.1%へ上がりました。なお、重度訪問介護従業者養成研修などの列は居宅介護事業の行では「…」(調査していない)とされています。
  • 1事業所当たりの従事者(当社計算の参考値): 従事者(常勤換算)を事業所数で割ると、令和2年約5.28人、令和6年約5.87人です。事業所数は全数(10月1日)、従事者は詳細票の推計(9月中に利用者がいた事業所の従事者)で母数が異なり、基準省令が定める「常勤換算2.5人以上」と比較できるものではありません。

数字の読み方には注意が必要です。事業所数は基本票の全数ですが、利用実人員・訪問回数・従事者数は詳細票からの推計値で、標本調査に伴う誤差を含みます。利用実人員と訪問回数は9月中、事業所数と従事者数は10月1日現在で時点が異なります。利用実人員は表5の注のとおり不詳の事業所を除いており、居宅介護事業ではサービスの内容別に計上されています。報酬の区分、収支差率、経営主体別の構成、居宅介護と重度訪問介護などとの併設の割合、1回の訪問時間、通院等介助の対象となる条件、地域ごとの偏在は今回確認した資料からは把握できず、要検証です。

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居宅介護事業所の経営課題、主要な6パターン

ここからは、上の数字と法令の条文を踏まえ、経営課題を整理します。報酬や加算といった細かい条件は今回確認できていないため、確認できた範囲に絞り、断定を避けます。個々の事業所の状況は個別に確認が必要です。

①事業所は毎年増えるが伸びは鈍化、従事者は事業所数の約2倍の速さで増加:「1か所当たりの担い手」の増え方を分けて見る

事業所数は令和2年から令和6年にかけて約11.6%増え、前年比は令和4年の3.3%をピークに令和6年は2.0%まで下がりました。一方、常勤換算従事者は約24.0%増えており、1事業所当たりの従事者は約5.28人から約5.87人へ増えた計算です(当社計算の参考値)。ただし、従事者の数は令和4年に前年比約4.6%減り、令和5年に18.7%増えるなど動きが大きく、この変動の理由(調査の標本の影響を含む)は今回の統計からは分かりません(要検証)。平均値は事業所ごとの規模のばらつきも示しません。事業所数が増えるなかで、新規の事業所が利用者を確保できているか、既存の事業所が人員の増減をどう吸収しているかは、統計だけでは判断できません。

②身体介護が中心の利用が伸び、家事援助が中心は横ばい:区分は統計上の分類で、条文は「総合的な提供」を求める

障害者の利用実人員のうち、身体介護が中心の区分は令和2年から約20.5%増え、訪問回数の合計も約26.6%増えました。一方、家事援助が中心の区分は利用実人員が約3.5%増にとどまり、訪問回数の合計は約2.3%減っています(当社計算)。1人当たり訪問回数も、身体介護が中心は18.4回から19.3回、家事援助が中心は9.3回から8.8回で、利用の重心がやや身体介護へ移っている様子が読めます。ただし、この区分は調査上の分類です。基準省令第32条は、居宅介護の提供に当たり、入浴・排せつ・食事等の介護又は調理・洗濯・掃除等の家事を「常に総合的に提供するものとし、特定の援助に偏ることがあってはならない」と定めています。統計の「中心」という分類がそのまま事業所のサービス提供の姿を示すわけではなく、令和6年に身体介護が中心の区分が増えた理由、利用者の障害の種別や支援区分との関係は統計から分からず要検証です。

③従事者の約65%が介護福祉士と実務者研修修了者:人材の高資格化と、初任者研修の比率低下をどう読むか

令和6年の従事者(常勤換算)155,444人のうち、介護福祉士が約55.9%、実務者研修修了者が約9.2%で、合わせて約65.1%です(令和2年は約60.6%)。初任者研修修了者は約30.9%から約27.1%へ下がりました(当社計算)。基準省令第5条第1項は、事業所ごとに置く従業者(指定居宅介護の提供に当たる者として「こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの」)の員数を常勤換算で2.5以上と定めており、従業者の範囲そのものは告示で定められています。どの資格がこの従業者に当たるか、サービス提供責任者に必要な資格や実務経験は告示や通知にあり、今回は取得していないため要検証です。統計から分かるのは、資格を持つ従事者の割合が上がっていることまでで、給与水準、離職、募集の難易度といった人手不足の実態は分かりません。

④サービス提供責任者と居宅介護計画:一体運営の規模の数え方、同居家族への提供禁止

基準省令第5条第2項は、常勤の従業者で専ら指定居宅介護の職務に従事するもののうち、事業の規模に応じて1人以上をサービス提供責任者とすると定め、その員数は事業の規模に応じて常勤換算によることができるとしています。事業の規模は前3月の平均値で、新規に指定を受ける場合は推定数です(同条第3項)。重度訪問介護・同行援護・行動援護の指定を併せて受け、同じ事業所で一体的に運営している場合は、一体的に運営している事業全体の規模で数えます(同条第2項)。サービス提供責任者は居宅介護計画を作成し、利用者と同居家族に説明して、利用者・同居家族と、計画相談支援または障害児相談支援を行う事業者(指定特定相談支援事業者等)に交付します(第26条)。実施状況の把握と計画の変更も求められます。サービス提供責任者の員数の具体的な基準(規模ごとの人数)は条文の本文ではなく告示にあり、今回は確認できていないため要検証です。また、第27条は、従業者に、その同居の家族である利用者へ居宅介護を提供させてはならないと定めています。計画の交付先となる相談支援の事業者との連携は計画相談支援事業所や障害児相談支援事業所の記事で扱っています。

⑤指定は都道府県知事・種類と事業所ごと・6年更新、居宅介護の指定が重度訪問介護の指定に及ぶ構造と共生型

障害福祉サービス事業者の指定は、サービスの種類と事業所ごとに、都道府県知事が行います(法第36条第1項・第3項)。居宅介護の指定申請書は事業所の所在地を管轄する都道府県知事に出し、記載事項には事業所の平面図、管理者とサービス提供責任者の氏名・経歴、運営規程、苦情解決の措置、従業者の勤務体制などがあり、障害児を対象とした居宅介護事業を行う場合は障害児である利用者の推定数も記載します(施行規則第34条の7第1項)。指定は6年ごとの更新を受けなければ効力を失います(法第41条第1項)。施行規則第34条の7第2項は、指定居宅介護の事業所で重度訪問介護の基準を満たすものは、事業者が別段の申出をしない限り、重度訪問介護の指定を受けたものとすると定めており、重度訪問介護事業所数(22,849か所)が居宅介護事業所数の約86%にあたる(当社計算)のは、この構造と関係している可能性があります(実際の重複割合は統計から分からず要検証)。また、法第41条の2は、居宅介護など一定の障害福祉サービスについて、介護保険法の指定(訪問介護など)や児童福祉法の指定を受けている事業所が、基準を緩和した形で指定を受けられる共生型の特例を定めており、基準省令第43条の2は、共生型居宅介護を行う指定訪問介護事業者の基準を、訪問介護の利用者数に共生型居宅介護の利用者数を合算して必要な従業者数を満たすことなどとしています。共生型の指定を受けた事業所の数は今回の統計からは分からず、要検証です。

⑥記録5年保存・費用の説明・運営規程の掲示など運営の管理コスト:居宅介護は準用で重度訪問介護へ広がる

指定居宅介護事業者は、従業者・設備・備品・会計の諸記録を整備し、利用者へのサービス提供の記録を提供した日から5年間保存しなければなりません(基準省令第42条)。利用申込者には運営規程の概要、従業者の勤務体制などの重要事項を文書で説明し、同意を得ること(第9条)、従業者に身分を証する書類を携行させること(第18条)、提供の記録(第19条)、運営規程の概要の掲示(第35条)、苦情・事故への対応(第39条・第40条)、事業所ごとの経理の区分(第41条)も定められています。第9条から第42条の運営基準は第43条で重度訪問介護に、第9条から第31条・第33条から第42条は同条第2項で同行援護・行動援護に準用されるため(第32条の総合的な提供は同行援護・行動援護には準用されない)、居宅介護の運営ルールを整えると、併せて運営する他の訪問系の事務の土台にもなります。一方で、1人の従業者が複数の利用者を回る訪問系の勤務体制、移動、記録、請求の事務を、どの程度の人員と仕組みで回しているかは事業所ごとに異なり、統計から分かりません。

商談前に見ておきたい居宅介護特有の公開情報

居宅介護の事業所に営業やヒアリングを行う前に、次のような公開情報を確認しておくと、論点を絞りやすくなります。

  • 運営法人と併設事業: 重度訪問介護・同行援護・行動援護を併せて運営しているか、介護保険の訪問介護や居宅介護支援を同じ法人が運営しているか。都道府県や政令指定都市・中核市が公表している指定事業所の一覧と、事業所の紹介ページで確認します。
  • 対象とする利用者の範囲: 障害児も対象とするか(施行規則第34条の7第1項第5号の2)、身体介護・家事援助・通院等介助のどれを主に提供しているか、対応する地域(運営規程の通常の事業の実施地域)。
  • サービス提供責任者と従業者の体制: サービス提供責任者の人数と専従・兼務の状況、介護福祉士・実務者研修・初任者研修の人数と求人(資格の細目は告示で、要検証)。
  • 管理者の兼務の状況: 管理者が専らその職務に従事しているか、管理上支障のない範囲で他の職務を兼ねているか(基準省令第6条)。
  • 居宅介護計画と相談支援との連携: 居宅介護計画の作成・交付・見直しを、紙・表計算・専用システムのどれで管理しているか(第26条)。
  • 勤務シフト・訪問記録・請求の事務: 訪問先ごとの日程調整、移動、サービス提供の記録、給付費の請求を誰がどの方法で行っているか。

これらを一件ずつ手作業で調べるとかなりの時間がかかりますが、会社名を入力するだけで公開情報を横断し、経営課題・提案システム・ROI・想定反論まで出典付きで調べられるZEROSYSリサーチのようなツールを使えば、当たりをつける作業そのものを効率化できます。調査は1社あたり10〜15分程度で、そのまま提案書のたたき台にできる形で出力されます。

よくある質問

障害福祉の居宅介護の事業所は全国にいくつありますか?

厚生労働省の令和6(2024)年社会福祉施設等調査(令和6年10月1日現在)では、居宅介護事業が26,485か所です。前年(25,967か所)から518か所(2.0%)増え、令和2年(23,741か所)からは約11.6%(当社計算)増えています。複数の事業を行う事業所はそれぞれの事業に計上されるため、重度訪問介護事業(22,849か所)などと事業所が重なっている可能性があります。

居宅介護とは何ですか?

障害者総合支援法第5条第2項は、居宅介護を、障害者等につき、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の主務省令で定める便宜を供与することと定めています。施行規則第1条の3は、その便宜を、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助としています。対象や提供の場面を限定する書き方はされていません。

介護保険の「居宅介護支援」や「訪問介護」とどう違いますか?

居宅介護は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、居宅介護支援は介護保険法に基づくケアマネジメントのサービス、訪問介護は介護保険の介護サービスで、根拠となる法律と制度が異なります。ただし、介護保険の指定訪問介護事業所が、障害福祉の共生型居宅介護の基準を満たして指定を受ける特例があります(法第41条の2、基準省令第43条の2)。個々の利用者にどちらの制度が適用されるかは、市町村や相談支援の窓口で確認が必要です。

居宅介護と重度訪問介護の違いは何ですか?

法第5条は、居宅介護を居宅における入浴・排せつ・食事の介護その他の便宜の供与、重度訪問介護を常時介護を要する重度の肢体不自由者などへの居宅等での介護と外出時の移動中の介護の総合的な供与として、別に定義しています。居宅介護の指定事業所で重度訪問介護の基準を満たすものは、事業者が別段の申出をしない限り重度訪問介護の指定を受けたものとされます(施行規則第34条の7第2項)。令和6年の9月中の1人当たり訪問回数は、居宅介護(障害者・身体介護が中心)が19.3回、家事援助が中心が8.8回、重度訪問介護が26.2回です。

居宅介護の人員基準はどうなっていますか?

基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)第5条は、事業所ごとに置く従業者を常勤換算で2.5以上とし、常勤で専ら居宅介護の職務に従事する者のうち事業の規模に応じて1人以上をサービス提供責任者とすると定めています。管理者は、専らその職務に従事する常勤の者を置くのが原則で、管理上支障がない場合は他の職務を兼ねることができます(第6条)。従業者の範囲、サービス提供責任者の員数の細目、資格の細目は告示や通知にあり、最新の条文・告示は確認が必要です。

居宅介護の従事者はどのくらいいますか?

令和6年10月1日現在の常勤換算従事者数は155,444人で、前年(148,007人)から約5.0%(当社計算)増えています(詳細票の推計。9月中に利用者がいた事業所の従事者数)。内訳は、介護福祉士86,869人、実務者研修修了者14,342人、初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級課程修了者を含む)42,081人、旧ホームヘルパー1級2,960人、旧介護職員基礎研修課程修了者1,964人、障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者471人、その他6,759人です。

居宅介護事業者の指定は誰が行いますか?

障害者総合支援法第36条第1項は、指定障害福祉サービス事業者の指定を、障害福祉サービスの種類と事業所ごとに申請により行うと定めており、指定権者は都道府県知事です(同条第3項)。指定は6年ごとに更新を受けなければ効力を失います(第41条第1項)。居宅介護の指定申請書は、事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出します(施行規則第34条の7第1項)。

まとめ

居宅介護事業所(障害福祉サービス)の経営課題は、①事業所は令和2年から約11.6%増の26,485か所だが伸びは鈍化し、従事者は約24.0%増と事業所数の約2倍の速さで増えていること②身体介護が中心の利用が約20.5%増え、家事援助が中心は約3.5%増にとどまるが、条文は両者の総合的な提供を求めていること③従事者の約65%が介護福祉士と実務者研修修了者で、従業者の範囲やサービス提供責任者の員数は告示で確認が必要なこと④サービス提供責任者が居宅介護計画を作成して相談支援の事業者へ交付し、重度訪問介護などと一体運営する場合は規模を合算して数えること⑤指定は都道府県知事が種類と事業所ごとに行い、居宅介護の指定事業所には重度訪問介護の指定が及ぶ規定や共生型の特例があること⑥記録5年保存・重要事項の説明・掲示など運営の管理業務が他の訪問系にも準用されること、の6つです。営業やヒアリングの前に、事業所の併設事業、対象とする利用者の範囲、サービス提供責任者と従業者の体制、居宅介護計画の運用を公開情報で整理しておくと、論点を絞りやすくなります。