結論から: 厚生労働省の社会福祉施設等調査(令和6年10月1日現在)では、児童館は全国に4,248か所あり、令和2年(4,398か所)から約3.4%減りました(当社計算)。一方、常勤換算の従事者は18,756人から20,187人へ約7.6%増えています。種別では小型児童館が2,404か所(令和2年から129か所減)、児童センターが1,707か所です。児童館は児童福祉法第40条の児童厚生施設で、民間が設置するには届出ではなく都道府県知事の認可が必要です(放課後児童クラブの市町村長への届出とは別の手続です)。利用者数、運営費、指定管理の条件、公営・民営の最新の内訳は本記事では「要検証」と明記しているため、営業や提案の前に公的な一次情報で必ずご確認ください。

中小企業に共通する経営課題の型(人手不足・後継者不在・DXの遅れなど)は経営課題の見つけ方|中小企業10パターンで整理した通りです。この記事で扱うのは、児童福祉法に定める児童福祉施設の一つ、児童館(児童厚生施設)です。名前が近い制度が複数あるため、先に区別します。なお、母と子が一緒に入所して暮らす児童福祉施設は母子生活支援施設の経営課題で扱っています。

児童館は「放課後児童クラブ」でも「保育所」でもない

児童福祉法第40条は、児童厚生施設を、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設と定めています。こども家庭庁の資料によると、児童館ガイドラインは、児童館を18歳未満のすべての子どもを対象に、自由に来館して過ごすことができる施設と位置づけています。小学生の放課後の生活の場を提供する放課後児童クラブ(学童保育)とは根拠が異なります。ただし、児童館の中で放課後児童クラブを実施している施設もあり、ガイドラインはその場合に放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準と運営指針に基づくよう努めることとしています。就学前の児童の保育を行う保育園・幼稚園や、障害のある学齢児が対象の放課後等デイサービスとも制度が別です。

業界の全体像を数字で見る

厚生労働省の「社会福祉施設等調査」(各年10月1日現在)の概況から、次の数字が分かります。児童館は定員・在所者数の欄が調査対象外で、施設数と従事者数が公表されています。

  • 施設数: 令和2年4,398、令和3年4,347、令和4年4,301、令和5年4,259、令和6年4,248か所です。令和2年から150か所(約3.4%)減りました(当社計算)。こども家庭庁の資料は、児童館は昭和40~50年代に急増し、平成18年をピークにここ数年は減少傾向と説明しています。
  • 種別(令和6年): 小型児童館2,404、児童センター1,707、大型児童館A型15、B型3、C型0、その他の児童館119か所です。令和2年と比べると、小型児童館は2,533か所から129か所(約5.1%)減り、児童センターは1,733か所から26か所(約1.5%)減りました(当社計算)。
  • 常勤換算従事者数: 令和2年18,756、令和3年19,321、令和4年19,264、令和5年19,545、令和6年20,187人です。令和2年から1,431人(約7.6%)増えました(当社計算)。令和6年の内訳は小型10,176、児童センター9,264、大型児童館A型285、B型40、その他422人です。児童センターは令和2年の8,377人から887人(約10.6%)増えています(当社計算)。
  • 児童厚生員(職種別の常勤換算従事者数): 令和2年10,857人から令和6年11,909人へ1,052人(約9.7%)増えました。令和6年の児童館の従事者(20,187人)に対する割合は約59.0%です(当社計算。児童厚生員が児童館だけの職種かは要検証)。
  • 公営と民営(令和4年10月1日現在): こども家庭庁の資料では4,301か所のうち公営2,323か所、民営1,978か所(約54.0%と約46.0%、当社計算)です。資料は、公営は平成7年をピークに減少に転じ、民営は最近でも徐々に増えていると説明しています。令和6年の公営・民営別の数字は今回確認しておらず、要検証です。

数字の読み方には注意が必要です。従事者数は詳細票の集計(常勤換算)で、令和6年の詳細票の回収率は小型児童館94.5%、児童センター97.0%、その他の児童館91.0%でした。施設数(基本票)で従事者数を割ると、1施設当たりは令和2年の約4.26人から令和6年の約4.75人になりますが、異なる集計の割り算のため参考値として扱うべきで、要検証です。利用者数、開館日数、運営費、指定管理の件数といった項目は今回確認した統計に含まれていません。

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児童館の経営課題、主要な6パターン

ここからは、上の数字と法令の条文を踏まえ、経営課題を整理します。補助や委託の水準は今回確認できていないため、確認できた範囲に絞り、断定を避けます。個々の児童館の状況は個別に確認が必要です。

①施設数は減る一方で従事者は増えている:箱の数と人手を分けて見る

施設数は令和2年から約3.4%減り、常勤換算従事者数は約7.6%増えました。1施設当たりの従事者は約4.26人から約4.75人に増えた計算ですが、前述のとおり集計の基礎が異なる参考値です(要検証)。施設の数が減る中で職員が増えている背景として、乳幼児親子への支援、中・高校生世代の居場所、放課後児童クラブの併設などの活動の広がりが考えられますが、統計からは理由までは分からず、要検証です。運営法人にとっては、シフト、記録、利用者の把握といった事務を、限られた施設数の中でどう回すかが論点になりえます。

②小型児童館が減り、児童センターは横ばい:種別によって職員体制も活動も違う

令和2年から小型児童館は約5.1%減、児童センターは約1.5%減でした。こども家庭庁の資料(平成2年の通知に基づく整理)では、小型児童館は小地域の児童が対象で、児童センターは小型児童館の機能に加えて体力増進や年長児童の育成の機能を持つと整理されています。同じ資料では、小型児童館と児童センターは2人以上の児童厚生員を置く職員配置の目安とされ、面積の目安は小型児童館217.6平方メートル以上、児童センター336.6平方メートル以上です。この通知の現在の運用は今回確認しておらず、要検証です。種別ごとに必要な職員や設備の考え方が異なるため、営業やヒアリングの前に、相手の施設がどの種別かを確認しておく必要があります。

③公営が多いが民営が増えている:運営主体と契約の形を確認する

令和4年時点で公営2,323か所、民営1,978か所でした。資料は設置及び運営主体を都道府県、市町村(特別区を含む)、社会福祉法人等としており、民営は増加傾向にあると説明しています。公営の施設を民間が運営する場合の契約(委託・指定管理など)の件数や条件は、今回確認した資料からは分からず、要検証です。運営費は平成24年度から地方交付税措置とされており、施設整備には次世代育成支援対策施設整備交付金(補助率は定額で原則1/3相当)がある、とも資料に記載されています。運営法人にとっては、収入の多くが自治体との契約や措置に左右される可能性がありますが、具体的な水準は要検証です。

④職員は「児童の遊びを指導する者」:資格の幅が広く、員数は条例や通知で確認する

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第38条は、児童厚生施設に児童の遊びを指導する者(児童厚生員)を置くこととし、その資格として、都道府県知事の指定する養成施設の卒業者、保育士、社会福祉士、高校卒業者等で2年以上児童福祉事業に従事した者、教員免許を有する者、設置者が適当と認めた大学で社会福祉学・心理学・教育学等を修めた者などを列挙しています。取得した条文には員数の数値は見当たらず、員数は都道府県の条例や、前述の通知の目安で確認することになります(要検証)。児童厚生員は令和6年に11,909人(令和2年から約9.7%増)で、資格の幅が広い分、研修や育成、異動の管理が運営上の課題になりえます。

⑤開設は届出ではなく認可:放課後児童クラブとの違いに注意

児童福祉法第35条は、市町村が児童福祉施設を設置する場合は、あらかじめ都道府県知事に届け出ること(第3項)、国・都道府県・市町村以外の者が設置する場合は都道府県知事の認可を得ること(第4項)を定めています。民間が設置した施設の廃止・休止は都道府県知事の承認が必要で(第12項)、市町村が廃止・休止する場合は1月前までの届出です(第11項)。基準は都道府県が条例で定め(第45条)、都道府県知事は報告の求めや立入検査を行い、基準に達しないときは改善の勧告・命令、事業の停止を命じることができます(第46条)。認可を受けた設置者が法令に違反したときは、認可を取り消されることもあります(第58条第1項)。市町村長への届出で開設できる放課後児童クラブとは、手続の窓口も強さも異なるため、同じ放課後の事業でも混同しないようにする必要があります。民間の児童館の認可の実際の運用は都道府県ごとに異なる可能性があり、要検証です。

⑥ガイドラインに沿った多機能化と安全管理:放課後児童クラブの併設、子育て支援、中・高校生世代の居場所

児童館ガイドライン(平成23年3月発出、平成30年10月に第一次改正)は、児童館を、拠点性・多機能性・地域性を持つ施設と位置づけ、遊びを通じた育成、子どもの居場所の提供、子育て家庭の支援、放課後児童クラブの実施と連携、ボランティアの育成、地域との連携などを活動内容に挙げています。運営面では、安全対策・衛生管理、防災・防犯、運営内容の自己評価と結果の公表、可能な限り第三者評価を受けること、運営管理規程を定めることなどを求めています。令和6年3月からは、こどもの居場所づくりに関する指針などを踏まえた改正の論点が専門委員会で審議されましたが、最終的な改正内容と施行時期は今回確認しておらず、最新版の確認が必要です(要検証)。活動が多岐にわたるほど、記録、安全点検、利用者の把握、地域との連絡といった業務が増える構図です。

商談前に見ておきたい児童館特有の公開情報

児童館の運営法人に営業やヒアリングを行う前に、次のような公開情報を確認しておくと、論点を絞りやすくなります。

  • 設置・運営の形: 公営(直営)か、委託・指定管理か、民間の設置(認可)か。自治体の公募情報、募集要項、広報で確認します。
  • 種別と規模: 小型児童館、児童センター、大型児童館のどれか。受託している施設の数と所在市町村。
  • 職員の体制: 児童厚生員の人数と資格、常勤の割合、求人の状況、館長の配置。
  • 実施している事業: 放課後児童クラブの併設の有無、乳幼児親子向けの事業、中・高校生世代向けの事業。
  • 利用の把握と記録: 利用者の受付方法(紙かデジタルか)、実績報告の様式と提出先、地域との連絡手段。
  • 安全・評価の公表状況: 運営管理規程、安全点検、自己評価・第三者評価の公表。自治体や法人のウェブサイトで確認します。

これらを一件ずつ手作業で調べるとかなりの時間がかかりますが、会社名を入力するだけで公開情報を横断し、経営課題・提案システム・ROI・想定反論まで出典付きで調べられるZEROSYSリサーチのようなツールを使えば、当たりをつける作業そのものを効率化できます。調査は1社あたり10〜15分程度で、そのまま提案書のたたき台にできる形で出力されます。

よくある質問

児童館は全国にいくつありますか?

厚生労働省の令和6年社会福祉施設等調査(令和6年10月1日現在)では4,248か所です。内訳は小型児童館2,404、児童センター1,707、大型児童館A型15・B型3、その他の児童館119か所で、令和2年(4,398か所)から約3.4%減っています。

児童館とは何ですか?

児童福祉法第40条の児童厚生施設の一つで、児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする児童福祉施設です。こども家庭庁の資料では、遊びを通じた集団的・個別的指導、健康の増進、放課後児童の育成、地域組織活動の育成、子育て家庭への相談などが事業の内容として挙げられています。

小型児童館と児童センターの違いは何ですか?

こども家庭庁の資料(平成2年通知に基づく整理)では、小型児童館は小地域の児童を対象に遊びを与え健康を増進する機能を持ち、児童センターはその機能に加えて体力増進の指導機能や年長児童の育成機能を持つ施設とされています。令和6年は小型児童館が2,404か所、児童センターが1,707か所です。現在の運用は自治体ごとに異なる可能性があり、要検証です。

児童厚生員になるには資格が必要ですか?

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第38条が、児童の遊びを指導する者の資格を列挙しています。保育士、社会福祉士、教員免許を有する者、高校卒業者等で2年以上児童福祉事業に従事した者、都道府県知事の指定する養成施設の卒業者などです。具体的な採用条件は設置者や都道府県の条例で異なるため、個別に確認が必要です。

民間事業者が児童館を設置するには何が必要ですか?

児童福祉法第35条第4項は、国・都道府県・市町村以外の者が児童福祉施設を設置するには、内閣府令の定めるところにより都道府県知事の認可を得ることとしています。廃止・休止には都道府県知事の承認が必要です(第12項)。設備は同基準第37条で、児童館等の屋内の児童厚生施設に集会室、遊戯室、図書室及び便所を設けることとされています。認可の審査の実際や補助の条件は都道府県ごとに異なる可能性があり、要検証です。

児童館と放課後児童クラブは何が違いますか?

児童館は18歳未満のすべての子どもが対象の児童厚生施設で、民間の設置は都道府県知事の認可です。放課後児童クラブは、保護者が労働等で昼間家庭にいない小学生の生活の場を提供する事業で、民間は市町村長への届出で行えます。児童館の中で放課後児童クラブを実施している例もあり、その場合はクラブ側の基準にも従います。詳しくは放課後児童クラブの経営課題をご覧ください。

まとめ

児童館の経営課題は、①施設数が令和2年から約3.4%減る一方で常勤換算従事者数は約7.6%増えていること②小型児童館が約5.1%減り、児童センターは約1.5%減にとどまる中で、種別ごとの職員体制と設備の考え方が異なること③公営が多いものの民営が増加傾向にあり、運営主体と契約の形を確認する必要があること④児童厚生員の資格は幅広く、員数は条例や通知で確認すること⑤民間の設置は届出ではなく都道府県知事の認可で、放課後児童クラブとは手続が異なること⑥ガイドラインに沿った多機能化と安全管理、自己評価・公表で運営管理の項目が多いこと、の6つです。営業やヒアリングの前に、運営の形(公営・委託・民間設置)、種別、職員体制、実施している事業を公開情報で確認しておくと、論点を絞って話ができます。運営費や利用者数など今回確認できなかった項目は、公的な一次情報で必ずご確認ください。