結論から: 商談準備にかける時間は営業担当者の約3割が1時間以上と回答しており、そのうち「顧客情報を集めるのに時間がかかる」ことを課題に感じている人は3割近くに上ります。時間がかかる原因は「情報源が分散している」「決算書や業界動向の読み込みに時間を使う」「仮説を立てる前の情報収集だけで疲れてしまう」の3つに整理できます。情報源を絞る・調査項目をテンプレート化する・一次情報の収集そのものを圧縮する、という考え方を組み合わせれば、商談準備の時間配分を大きく変えられます。

企業リサーチ・商談準備に、営業はどれだけ時間を使っているか

株式会社ハンモックが営業部・営業企画部に所属する1,000名を対象に実施した調査(2025年10月23日実施、2025年12月11日発表)では、商談準備にかける時間は「30分未満」が28.7%、「30分〜1時間未満」が43.2%と、約7割が1時間未満で準備を終えている一方、「1時間〜2時間未満」が18.6%、「2時間以上」が9.5%と、約3割は1時間以上を準備に費やしていると報告されています。同調査では、情報収集に関する課題として「顧客情報を集めるのに時間がかかる」と回答した人が29.2%に上りました(出典)。

営業活動全体で見ても、時間の使い方には偏りがあります。株式会社スマートスライドが営業職400名を対象に行った調査(2021年10月実施)では、営業パーソンが最も時間をかけている業務は「資料作成」で全体の30.5%を占め、対象者の半数以上が「業務時間の50%以上を資料作成に使っている」と回答しました。同調査は、この時間を営業1人あたり年間619時間・約167万円のコストに相当すると試算しています(出典)。企業リサーチだけでなく、その後の提案資料作りまで含めると、商談1件あたりの「調べて・まとめる」時間はかなりの比重を占めていることが分かります。

なぜ企業リサーチに時間がかかるのか

時間がかかる原因を分解すると、大きく3つに整理できます。

①情報源が分散している

Sansan株式会社が営業・マーケティング・経営部門の1,200名を対象に行った調査(2022年6月実施)では、部署間でデータを共有・活用できていないことが企業の損失につながると感じている人が72.9%に上り、保有データが最新に保たれていないと回答した人が37.0%、そのデータの古さが実際に営業活動へ支障をきたした経験がある人が54.9%に上ったと報告されています(出典)。企業リサーチも同様で、公式サイト・決算書・ニュース・求人票・SNSと情報源が分散していると、それぞれを開いて確認するだけで時間が溶けていきます。

②決算書や業界動向の読み込みに時間がかかる

決算書は数字の意味を理解していないと、どこを見ればよいか分からず時間をかけすぎてしまいがちです。営業が確認すべき指標を絞り込む考え方は決算書の読み方|営業が5分で掴む3指標で解説しています。業界特有の課題(法改正対応・DXの遅れなど)も、業種ごとの「型」を先に押さえておかないと、毎回ゼロから調べ直すことになり非効率です。業種別の傾向は経営課題の見つけ方|中小企業10パターンで整理しています。

③仮説を立てる前の情報収集だけで疲れてしまう

情報を集めきってから仮説を立てようとすると、集める作業自体に時間を使い切ってしまい、仮説を練る時間が残らないという状態に陥りがちです。仮説営業の考え方と4ステップは仮説営業とは|仮説構築の4ステップと立て方で詳しく解説していますが、そもそも「Step1の一次情報を集める」段階に時間を使いすぎるケースが多いのが実情です。

リサーチ時間を圧縮する4つの考え方

①情報源を絞る

才流のシニアコンサルタント・宮戸章光氏による解説記事(2024年2月公開)では、営業パーソンが顧客解像度を高めるためのリサーチにおいて「社内」「Webサイト(ターゲット顧客や競合企業)」「業界新聞やWebの記事」の3つは、どのような場合でも使うことを推奨するとしています(出典)。情報源を思いつく限り増やすのではなく、まず押さえるべき3つに絞ってから、必要に応じて広げるという順序にすると、毎回の調査時間が安定します。

②調査項目をテンプレート化する

同記事では、調査項目と目安時間は組織内で統一できるケースが多く、代表的な調査項目として「企業情報」「市場環境」「商談相手の情報」の3項目を挙げています(出典)。毎回ゼロから「何を調べるか」を考えるのではなく、あらかじめ調べる項目と順番を固定しておけば、迷う時間そのものをなくせます。

③読む前に「当たり」をつける

決算書や業界動向を隅から隅まで読み込む前に、業種特有の課題パターンから「この会社はここが怪しそうだ」という当たりをつけておくと、実際に確認すべき箇所を絞り込めます。人手不足・後継者不在・デジタル化の遅れなど、中小企業に繰り返し現れる経営課題の型は経営課題の見つけ方|中小企業10パターンで紹介しています。

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④一次情報の収集そのものを圧縮する

HubSpot Japanが2025年2月に発表した「日本の営業に関する意識・実態調査2025」では、生成AIについて認識している営業担当者は85.5%に上る一方、実際に営業活動のために活用したことがある人は28.9%にとどまり、認知と活用のあいだに大きなギャップがあると報告されています(出典)。ツールを知っているだけでは時間は短縮されず、「何に」「どう」使うかまで決めて初めて効果が出るということです。企業リサーチにおいては、公式サイト・決算書・ニュース・求人票といった一次情報を横断して集める部分こそツールに任せやすい領域です。会社名を入力するだけで、こうした公開情報を出典付きで横断調査し、経営課題・提案システム・ROIの試算・想定される反論までまとめて出せるZEROSYSリサーチのようなツールを使えば、情報を集める時間を圧縮し、浮いた時間を仮説を練ることや質問の組み立てに使えるようになります。商談前リサーチツール全体の比較は商談前リサーチツール比較【2026年版】で解説しています。

「10分の1」はどこまで現実的か

前述の調査の通り、商談準備には30分〜2時間以上と幅がありますが、時間がかかっている層ほど「情報源が分散していて何度も開き直している」「決算書や業界動向を毎回一から読んでいる」という状態に当てはまりやすいと考えられます。情報源を絞り、調査項目をテンプレート化し、一次情報の収集をツールに任せる、という3つを組み合わせれば、1〜2時間かかっていた準備を10〜15分程度まで圧縮できる余地は十分にあります。ただし短縮幅は業種・案件規模・個人のリテラシーによって差が大きく、「必ず10分の1になる」と一律に保証できるものではない点は留意が必要です(この点は要検証)。

よくある質問

商談前のリサーチにかける時間はどれくらいが目安ですか

実態調査では「30分未満」28.7%、「30分〜1時間未満」43.2%で、合わせて約7割が1時間未満で準備を終えています。一方「1時間〜2時間未満」18.6%、「2時間以上」9.5%と、約3割は1時間以上を費やしており、そのうち「顧客情報を集めるのに時間がかかる」ことを課題に感じている人は29.2%に上ります。かける時間そのものより、時間のかかり方に偏りがある人が一定数いる状態です。

企業リサーチに時間がかかる原因は何ですか

大きく3つに整理できます。①公式サイト・決算書・ニュース・求人票・SNSなど情報源が分散していること、②決算書や業界動向の読み込みに時間がかかること、③情報を集めきってから仮説を立てようとして、収集作業だけで疲れてしまうことです。

リサーチ時間を圧縮するにはどうすればいいですか

①まず押さえるべき情報源を3つ程度に絞る、②調査項目と目安時間をあらかじめテンプレート化する、③業種特有の課題パターンから読む前に「当たり」をつける、④一次情報の収集そのものをツールに任せて圧縮する、という4つの考え方を組み合わせる方法があります。

リサーチ時間を本当に10分の1にできますか

短縮幅は業種・案件規模・個人のリテラシーによって差が大きく、「必ず10分の1になる」と一律に保証できるものではありません(この点は要検証)。ただし情報源を絞り、調査項目をテンプレート化し、一次情報の収集をツールに任せるという考え方を組み合わせれば、1〜2時間かかっていた準備を10〜15分程度まで圧縮できる余地は十分にあると考えられます。

まとめ

企業リサーチに時間がかかる原因は、情報源の分散・決算書や業界動向の読み込み・仮説を立てる前の情報収集疲れの3つに整理できます。情報源を絞る、調査項目をテンプレート化する、一次情報の収集をツールに任せるという考え方を組み合わせれば、商談準備の時間配分を大きく変えられます。時間を減らすこと自体が目的ではなく、浮いた時間を仮説の精度や提案の作り込みに使えるようにすることが本来の狙いです。